パニック障害の発症から克服までの経験を書いてみた 第2話【3話完結】
私は2007年にパニック障害を発症し、現在は完治しています。
近年、ますます増加傾向にあるパニック障害をはじめとする不安障害や精神疾患について悩んでいる人の、何かお役に立てたらと思い、私の経験を記事にしました。
極力、刺激的な内容はオブラートに包んで書きましたが、自殺未遂などのネガティブな内容も含まれますので自己責任でお読みください。
初めてのパニック発作
ある日、自宅トイレ内でそれは起こりました。
用を足し終えて、さあ出ようかという時に、急に心臓とみぞおちの部分に激しい動悸を感じ、呼吸がうまくできず過呼吸のような状態になり、気持ち悪くて吐きそうになり、目の前が砂嵐のようにザーっとなり、冷や汗が吹き出してきて、
「やばい、吐く…!?気を失う…!?」
「どうしよう!?どうしよう!?どうしよう!?」
と、パニック状態に陥りました。
1分くらいその状況が続き、実際に吐いたり気を失うことはありませんでしたが、かなり焦りました。
「今のは一体…?」
落ち着きを取り戻して、今のは何だったのかネットで調べ『パニック障害』というものをここで初めて知ることになるのです。
心も体も衰弱していく日々
1回発作を経験してから、いつどこであの発作が現れるかと思うと恐怖で、1人では絶対に外出できなくなりました。
また、閉鎖された空間や、空気が濁っている感じがする空間にいることができなくなったので、誰かと一緒だとしても、バスや電車などの乗り物に乗れなくなりました。ショッピングモールや駅構内などの人が多く集まるところ、映画館、図書館なども行けなくなりました。
大好きなTHE ALFEEのライブに行けなくなったことでした。中学生の頃から毎年数回行っていたくらい、大好きだったのに。
相変わらず、ご飯もほとんど食べられないし、水も少しずつしか飲めません。
生きる楽しみを次々に失い、イライラし、彼に八つ当たりする毎日でした。
これはもう自力では治せない病気だということで、心療内科に通い始めました。
心療内科などもちろん初めてですし「ヤバい精神病患者とかいるんじゃないの?」というネガティブなイメージがあったので、ものすごく抵抗感がありましたが、初めのうちは彼に付き添ってもらい、通い始めました。
私が通っていたクリニックの診療科目は精神科、神経内科、心療内科で、主に症状のヒアリングと薬の処方をしてくれる個人病院でした。心配していたような”ヤバい精神病患者”は見当たりませんでした。
心療内科といえば、カウンセリングを入念に行うイメージがありましたが、このクリニックではカウンセリングはほぼありませんでした。
初日に症状を話し、下された診断名は『不安神経症』でした。今で言う『不安障害』です。
不安障害とは
精神疾患の中で、不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。その中には、特徴的な不安症状を呈するものや、原因がトラウマ体験によるもの、体の病気や物質によるものなど、様々なものが含まれています。中でもパニック障害は、不安が典型的な形をとって現れている点で、不安障害を代表する疾患といえます。
厚生労働省 みんなのメンタルヘルス
具体的にどんな薬を処方されたかはちょっと覚えていないんですが、その薬を飲むと数時間は喉の閉塞感がなくなり、ようやくご飯が食べられるようになりました。(と言ってもごく少量ですが。)
その代わりこの薬を飲むと、ものすごい睡魔が襲ってきて、昼夜構わずいつでも眠ってしまい、生活リズムがぐちゃぐちゃに乱れてしまいました。
心療内科に通っている間も、パニック発作は度々起こりました。パニック発作自体を抑える頓服薬もありましたが、いつ起こるのかわからないのでうまく使えませんでした。
孤独な戦い
両親の反対を押し切って同棲を始めているから、実家には頼れませんでした。もし両親に話したら「同棲なんてやめて帰ってこい!」と猛烈に怒られるだけだと分かっていました。当時、両親は毒親だったので帰りたくありませんでした。
妹たちはまだ学生だったので話せませんでした。
友達にも話せませんでした。私が病気であると打ち明けても心配をかけるだけだと思っていました。
唯一、病気のことを知っていて頼れるのは彼でしたが、仕事が忙しく、残業も多かったのでほとんど家にいない状態でした。
私は、完全に孤立状態でした。
喉の閉塞感に耐えながら、パニック発作に怯えながら、生活リズムもぐちゃぐちゃで、自宅でほぼ寝たきりの引きこもり生活をしていたら、心身ともに衰弱していき、体重は53kg→43kgに激減し、メンタル面でもうつ状態になっていきました。
私は何のために生きているのだろうか?
私が存在している意味ってなに?
私は彼に毎日迷惑をかけているだけだ。
こうしてずっと寝たきりで、仕事もせず、彼が稼いだお金で借りている家に住み、彼が稼いだお金で病院に通い薬を買い、家事も満足にできず、彼に病気がつらいと日々訴え、八つ当たりして、彼の時間や気力までも奪っている。
何もできない、どこにも行けない、誰にも必要とされない。
私は彼のお荷物であり、社会のお荷物であり、生きる価値がないんだ。
布団の中でいつもそんなことを考えていました。
毎日毎日、自分を責めて責めて責めて…気がついたら包丁を自分に向けていました。
第3話に続く